2009-12-15 – blog – Junko Takei , Klavierstunde

  • 視点

信濃美術館にて今月20日まで行われている、[ポップアート 1960’s ~2000’s] へ行ってきました。

今回の展覧会の説明や広告からは、軽くて明るいポップアートがたくさん・・というイメージを持って観にいきましたが・・
その予想以上にアメリカならではの柔軟な思考、明確な考えがキャンバス上に現れている、ということに引き込まれました。


著名な作品が並びましたが・・心に残ったたくさんの中から、ウタ・バースと、ヴィック・ムニーズの作品について少し書きたいと思います。

ウタ・バースは、10点の写真が一組でひとつのテーマになっている作品が展示されていました。
それぞれの写真が、対象をようやく理解できる程度(断片)に撮られていています。

小さな部分から全体を一瞬にして想像して、全体像を自分の中で作り認識にいたる、というプロセスは確かに普段ものを見るときでも使う手段であり、音楽を演奏する時でも同じことが通じるな・・などと自分なりの解釈をして見入ってしまいました。 (これは私の見方なので・・他の方の見方や作者の考え方とは・・違うかもしれません)

ヴィック・ムニーズは、ゴッホのひまわりやセザンヌ、モネの絵が原画をもとに 雑誌の切り抜き、チョコレートなどで描かれ写真に収めたものが、大きなプリントで展示されていました。(同じ手法でも違う趣旨の作品もありました)

昔、モネなどの原画を見たことがフィードバックして、なんだか不思議な気分だったのと、特徴をあまりにもよくつかんでいるので、素材の質感とどう関係があるのかなど考えながら遠めで見たり、近くで見たり。


それ以外の作品も、一人一人が個性的で他の人にはないものを持っているので、すべての作品の前で彼らと向き合って話をしているような気持ちでした。


もうひとつ強く感じたことは、近現代の情報化社会・ 資本主義という中での、またはそれに対しての表現を、高い視点で描いている人たちがいるのだな・・ということです。

肯定と否定、矛盾を直視すること、シニカルな表現、希望を前面に打ち出した表現・・など自分の立場をここまで明確に表現することは、アメリカという土壌が生むものなのかもしれない..と感じました。

また、立体を色々な角度から見るような思考回路に「自由な発想だな」と思わずにいられませんでした。

今回は、新しい視点のヒントを得ることができました。